近代工業の賃金に就いては幸ひ康徳六年八月末日現在に於て満洲労工協会で実施した「日人経営工場・鉱山労働事情調査」がある。然しこれとても静態調査である為、賃金の推移に就いては別の資料に依らねばならないのであるが、兎も角も右の資料に基いて先づ最初に実収賃金の静態に就いて観察して見よう。
先づ日人経営工場労働者の一日平均実収賃金を各民族及男女別の総平均に於て観るに次表の通りである。
| 賃金 | 民族別比較 | 男女別平均 |
| 男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 |
日本内地人 | 3.78円 | 1.82円 | 100 | 100 | 100 | 48 |
朝鮮人 | 1.52 | 0.76 | 40 | 42 | 100 | 50 |
満支人 | 1.09 | 0.53 | 29 | 29 | 100 | 49 |
其他 | 1.74 | ― | 46 | ― | 100 | ― |
[備考]―常時五〇人以上の労働者を使用する工場三四四、労働者一二八,八八九人に係る調査